ワキガ・多汗症のすべて
ワキガに関する基礎知識
汗を分泌する腺には、エクリン汗腺とアポクリン汗腺という二種類の分泌腺があります。そのうちアポクリン汗腺というのは、ワキの下、乳輪、陰部、外耳道、臍など、身体の決まったところにしかありません。エクリン汗腺から出る汗の成分は、99%の水分と1%の塩分ですが、アポクリン汗腺からは、タンパク質、糖類を始め、アンモニア、鉄分、蛍光物質、脂質、脂肪酸など、臭いの元となる物質が分泌されています。これは粘り気のある乳白色がかった液体で、この汗の成分が細菌などによって分解されて臭いを発するものが「ワキガ」なのです。
ワキガは人種差が大きく、欧米人は約80%の人がワキガ体質であるのに対し、日本人は約10%と非常に少なくなっています。また、片親がワキガの場合は約50%、両親がワキガである場合は約75%の割合で遺伝するとも言われています。アポクリン汗腺の活動は、思春期の頃から始まり、熟年以降、老化で衰えるまで続きます。
ワキガになりやすい人の体質
耳アカが湿っている
外耳道には多くのアポクリン汗腺が分布しており、耳アカが湿りがちな人は、アポクリン汗腺の分泌が多いことと考えられます。
家族にワキガの人がいる
ワキガには常染色体優勢遺伝によってアポクリン汗腺の数などが左右されます。片親がワキガの場合は約50%、両親がワキガである場合は約75%の割合で遺伝するとも言われています。
シャツが黄ばみやすい
黄ばみの原因は、アポクリン汗腺からの分泌液に含まれる脂肪やタンパク質、鉄分、色素などによるものです。そのため、黄色い汗染みができやすい人は、アポクリン汗腺の分泌量が多いと考えられます。
ワキの下がやや茶色がかっている
ワキガの手術方法
現在の日本で行われているワキガの手術は、大きく分けて以下の5つに分類されます。
剪除法(直視下滌除法)
最も効果が高い方法で、広く行われています。皮膚を3〜4センチ切開し、皮下組織内のアポクリン汗腺を目で確認し、これを取り除きます。つまり、手術するドクターが直接目で確認できるのは剪除法だけで、その結果として完治率が高くなります。
しかし一方で、アポクリン汗腺を見分ける経験や知識も必要で、担当する医師の技量でも差が出る手術です。
高度な技術と長年の豊富な知識を持った医師だからこそ行える施術です。城本クリニックでは、この方法を推奨しています。
皮膚切除法
ワキの下の有毛部の汗腺や皮脂腺、毛根を単に切り取り、縫い合わせるという手法です。傷が大きくなることと、ひきつれを起こしたり辺縁部に取り残しを発生してしまうことで、ほとんど行われていない方法です。
吸引法
ワキの下の皮膚を数ミリ切開し、そこからエクリン汗腺やアポクリン汗腺を吸引しようとする方法です。皮膚の生着も早く、傷跡もほとんど残らないので考え方そのものは悪くないのですが、不確実なために再発が多く、あまり行われなくなった方法です。
超音波法
超音波を利用し、血管や神経を避けて汗腺のみを吸引する方法です。当初は術後の血腫形成や皮膚壊死などの心配がなく、皮膚の生着も早いことから注目された方法ですが、やけどや組織内水腫の合併症の報告や超音波による熱が皮膚自体にダメージを与えるなど、通常の手術に比べて傷が残りやすいことがわかってきました。さらに、超音波法は、吸引法の域を超えないので、やや不確実な方法といえます。
ローラーシェービング法(イナバ式)
汗腺を効率よく取るために考案された削除器を使用し、皮膚の裏側より汗腺を除去する方法です。現在でも行われている手術の一つですが、直接、汗腺の残存を確認できないことから、効果という点では剪除法(直視下摘除法)に劣ります。効率重視の場合に使用されます。
ボトックス注射によるワキガ治療
ボツリヌス菌から作られたボトックスを使用することで、筋肉が収縮して汗腺が細くなるため、発汗を抑える方法があります。ボトックスはタンパク質の一種で、交感神経の働きを弱める作用があるため、エクリン汗腺やアポクリン汗腺の活動を抑制し、汗の分泌を抑えることができます。持続期間は約6ヶ月ですが、個人差もあります。
1回10万円程度ですので、2〜3回で手術ができる料金になってしまいます。手術は絶対にイヤだという人だけが、一時的に行う処置ということになります。